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レーシングドライバー麻生裕二HOME >> レポート >> 2006年 全日本スポーツカー耐久選手権 Rd.1菅生 チームレポート


レーシングドライバー麻生裕二レースレポート

2006年 全日本スポーツカー耐久選手権
Rd.1菅生 チームレポート


【はじめに】
日本国内では様々なカテゴリーのレースが開催されている。
その中でJAF(社団法人日本自動車連盟)による全日本選手権タイトルが、ドライバー、チーム、エンジンチューナーへ与えられるレースは僅か。
Formula Nippon, Formula 3, そして、新たに始まった全日本スポーツカー耐久選手権『JAPAN LE MANS CHALLENGE』である。
『この道は、耐久レースの頂点に君臨するLe Man24時間へレースへ続く。』このレースに対するコンセプトである。

06年から07年にかけては、04年から06年すべての「ル・マンレギュレーション」に合致した車輌の参加が許され柔軟に対応していく。
そして、3年目となる08年からは完全に「ル・マンルール」で開催され、各クラスのチャンピオンは「ル・マン24時間レース」に招待されることが謳われている。
我々Aim Sportsは、Formula TOYOTAやGC-21(2003年シリーズ・チャンピオン獲得)などで参戦を共にしたレーシング・ドライバー「山崎信介」選手の
このレースに掛ける熱い想いを受け止め未知の世界である耐久レースに挑むこととした。

賛同したドライバーは、「麻生裕二」選手、「富澤勝」選手。
麻生選手は今回初めて一緒に組むこととなるが、Formula 4参戦や海外のレース参戦など実績のある選手。
富澤選手は昨年、GC-21にて我がチームから参戦(3戦)しシリーズ2位を獲得している。
他にも、スーパー耐久シリーズなどで活躍し耐久レースの戦い方を知っている頼もしいドライバーである。

国内外を問わず、レース経験豊富な3人のドライバーを迎えられたことが何より心強い。
準備期間は僅か1ヶ月足らず。
本来、スプリント・レース仕様のマシーンである『GC-21』は改良すべき点が多い。
スプリント・レースには不要である給油システムの作成やブレーキやミッションの耐久性は如何なるものか、そして、これまで装着していたものと異なる
タイヤ(YOKOHAMA)との相性など考えることはあとを絶たなかった。
連日の徹夜作業。
流石に辛いと感じたこともあったが、出場を決めたからには出来る限りのことをこのマシーンに施したい。
我々と戦いに挑む決意をしたドライバー3人(山崎選手、麻生選手、富澤選手)、応援してくれる方々、チームが一丸となって戦うことを目標に掲げ、
開幕戦の舞台となるSUGOへ向かった。


【05.12.06 Free Practice 】

清々しい五月晴れに恵まれ心地良い一日。
春の訪れが少し遅い東北・仙台、サーキットまでの道のりでピンク色と緑が半々の桜の木を目にしたことは新鮮であった。

Weather / Fine Course / Dry
いよいよマシーンを走らせることが出来る。
期待と不安が複雑な心境の中、ぶっつけ本番となったレース・ウィークが始まった。
いざ走行が開始されると漠然としていた改良すべき点が浮き彫りになる。
叩き出すラップ・タイムにマシーンの方向性が良好であると感じた。

そして、まだまだ何かあるとPit In/Outを繰り返しながら改善案を探りマシンに手を加える。
このレースは、1台のマシーンを3人のドライバーが操る。
大きな差はないが、体型の異なることでのシートへの微調整、それぞれが感じるマシーンへのコメントに耳を傾け改良を施し走行を繰り返す。
GC-21初の試みとなるYOKOHAMAタイヤ(スリック)装着での走行に問題点はなく、耐久レースで多くのチームが装着することに頷けた。
3本目走行中にコース・アウトするシーンがあったが、マシーンにダメージを与えるはなかった。

大きなトラブルなく、初めてドライバーとスタッフが揃い過ごした1日はあっと言う間に過ぎた。
初日から一丸となって戦いに挑む意気込みが感じられ、良いレース・ウィークを過ごせるのではとほんの少し安堵した。
レースは、決して独り善がりで成立するものではない。
チーム・ワークが大切と考えるメンバーが揃ったことを嬉しく感じた。
明日迎える予選日の天気予報は雨。
どのような結果を得られるか、楽しみな気持ちを抱きながらサーキットをあとにした。


【05.13.06 Qualify 】
昨日とは打って変って見上げた空はどんよりした重たい雨雲が覆っていた。
天気予報が外れることはなく、一日中、降ったり止んだりの雨模様。
寒さを凌ぐのに知恵を使う一日となった。

10:50〜11:50 Driver's Qualify Weather / Cloudy Course / Wet

走行開始時間前に雨は上がり、ほんの少し明るくなった空を見上げた。
しかし、完全に晴れたわけではない。
止んだはずの雨がチラつくのを感じた。
路面は乾くことなく、ウェット・コンディションのまま山崎選手、麻生選手、富澤選手の順でアタックを開始した。
問題なく3人は基準タイムをクリアーし持ち時間を有意義な走行時間とした。
初となるYOKOHAMAレイン・タイヤは、思うようなグリップを得られず全員がもどかしさを感じたと話す。
しかし、その中でベストの走りをするにはどうしたら良いか、話し合う姿が印象的であった。


15:00〜15:20 Grid Qualify Weather / Cloudy Course / Wet

雨が上がり、サポート・レースの予選はスリック・タイヤで臨む姿が見受けられた。
このままコースがドライへ変化するのかと思ったのも束の間、再び雨が降り出し路面はウェット・コンディションに戻ってしまった。
スタート・グリッドを決めるグリット予選開始前に雨は上がったものの、再び路面が乾くことはなかった。
スプリント・レースはグリットの位置でレース展開に左右することが多く感じられるが、耐久レースでのスターティング・グリットはあまり深刻な問題と捉える必要はない。
レイン・タイヤでのパフォーマンスを確認し、今後のレースに備えるデータを蓄積したと考えた。

いよいよ明日は決勝日。
初めて挑戦する1000km(最長時間6時間)の長丁場のレース。
勝敗の鍵となる重要なドライバー交替、ピット作業の打ち合わせを行い、幾度と無く練習を繰り返し一日を終えた。


【05.14.06 Race 】
迎えた決勝レース当日は、新しいレース・カテゴリー『JAPAN LE MANS CHALLENGE』の開幕戦を祝福するかのような青空が広がっていたが、
時折吹く強い風に体温を奪われるような感じもあった。

8時から30分間のフリー走行でマシーンの調子を確認し、その後はドライバー交替やピット作業の確認の時間を設けた。
マシーンの幅が大きいこともあり、ドライバー交替に時間がかかる。
給油装置もまだ改良の余地が有り、ロス・タイムを無くしたい。
本番では、皆が落ち着いてミス無く対応することを願った。

ピット・ウォークに訪れた観客の方々が、興味津々な面持ちでマシーンを覗き込むシーンが多く見受けられ「かっこ良い!」など称賛をあびた。
我々のマシーンに興味を持つ人々が増えることはなんとも嬉しいことである。
ご声援頂いた方々のためにも楽しめるレース展開を繰り広げたいと思った。

迎えた決勝コース・インの時刻。
電気系のトラブルが発覚し、修復作業に時間を要することとなってしまった。
スタート・ドライバーである山崎選手はコックピットの中で静かに作業が終わるのを待つ。

いよいよ、レース・スタート。
ピット・スタートとなってしまったが、落ち着いた表情で山崎選手はピットをあとにしレースへ加わる。
最後尾から我々『Aim Sports GC-21』のレースは始まった。
周回を重ねるごとにホジションを1つずつ上げるレース展開に見守るスタッフの表情は明るかった。
34周目には総合4位まで順位を上げ、1回目のPit In。

ドライバー交替は行わず、給油とタイヤ交換のみでレースへ復帰。
47周目には総合3位を快調に走行。
レース展開に変化が現れたのは65周目、ダントツの速さで優勝候補と称されていたCar No.21 DUNLOP Zytek 05Sが電気系トラブルでピット・イン。
そのまま、レースへ復帰することは無かった。

なんとなく、我が『Aim Sports GC-21』にも総合優勝の兆しが見えたように思えた。
約80周の走行を終え、総合2位のポジションで山崎選手から麻生選手へドライバー交替。
再び給油とタイヤ交換を施し、麻生選手のドライブが始まった。
途中、前を走るマシーンに行く手を阻まれ思うようにペースを上げられない時間があったものの、そのマシーンをパスすると順調に周回数を重ねた。

約40周目でピット・イン。
給油とタイヤ交換のみでコースへ戻る。
ポジションは以前、総合2位。
更に40周程の走行を無事終え、アンカーとなる富澤選手へ交替する。

タイヤはまだ、皮むきをしていないNewタイヤ。
上手くコントロールしながら走行し続ける富澤選手は、同クラスの中でのBest Time 1'22.470(175周目)を記録する。
タイヤの状態を確認する無線の声が飛ぶ。
このままのタイヤで大丈夫との返事を受け、約40周を走り予定通りのピット・イン。

最後の給油を施し、コースへ戻る。
この時点で総合1位CarNo.20(Ferrari)に対してラップ2秒近い速いタイムという順調なペースで周回数を重ね、
もしかしたら1位走行のマシーンCarNo.20(Ferrari)を捉えられるかもしれない。
クラス優勝のみならず、総合優勝も手に入れられるのではと脳裏を過ぎった。

しかし、走行開始から206周目に最終コーナーでクラッシュしたマシーンがコースの真ん中で止まってしまい、赤旗中断。
そして、「統一規則(ケースC)」によりレースは終了となった。
クラス優勝、総合2位を獲得し、開幕戦の幕を閉じた。


【Driver's Comment 】
レーシングドライバー山崎信介

スタート直前に電気系トラブルで遭えなくピット・スタートとなりましたが、監督から状況説明を受けていたことでナーバスになることはなく、
スタート時の混乱に巻き込まれるリスクを回避したのだとモチベーションをキープすることが出来ていました。
当然クラス優勝は狙っていましたが、耐久経験のある他クラスに引けをとらずに総合2位を勝ち得たことは、チームのポテンシャルの高さを証明できたと思います。
今回のレース参戦に辺り、レース・ウィーク直前までタイトなスケジュールを過ごしていましたが、決勝時には細かい問題も全て解決していました。
我々は小規模なチームですが、それぞれが自分の成すべきとこを理解し同じ目標に向かっていたことが好結果を生んだのだと信じています。
そして、歩みを止めることなく、得られたデータを武器に更なる進化を遂げ、次回、モテギへの戦いに繋げたいと思います。


レーシングドライバー麻生裕二
マシーンは金曜日の乗り始めから、ポテンシャルのある車だと感じました。
YOKOHAMAタイヤとの相性も良いと分かりました。
スタート直前のトラブル修復中は、ここで全てのトラブルが解消されて欲しいと思っていました。
いざ、自分が乗り込み走行を開始するとペースの遅いマシーンに行く手を阻まれて過ごした周回をもどかしく感じました。
しかし、そのマシーンをパスするとフリー走行時と遜色ないタイムを刻めるマシーンに頼もしさを感じ集中してレースに挑めました。
少ない時間で準備したにも拘らず、総合2位、クラス優勝の結果を得られたことにはとても満足しています。
スタッフのモチベーションも高く、それぞれが与えられた仕事をこなし、揃えたウェアもかっこ良く、目標のひとつである笑いのあるインターナショナルな雰囲気に
近づけたと思っています。
勿論、2連勝目指します。


レーシングドライバー富澤勝
テスト不足のため様々な点で不安を抱えていましたが、いざ始まるとタイヤもブレーキも予想以上に磨耗が少なく、
徐々に改善されつつあるマシーンに安定感や乗りやすさを感じました。
しかし、ウェット・コンディションでのパフォーマンスは決して良いとはいえませんでした。
今回、得られた貴重なデータを基に更なる向上を目指したいと考えます。
レース展開は、時間のかかるドライバー・チェンジを少なくし、2スティント連続走行作戦は上手く機能し、後続とのマージンを築けたのが勝因と考えます。
車のポテンシャルを含め、高いチーム力を見せることが出来たと思います。


【最後に】
急遽、決定致しました『JAPAN LE MANS CHALLENGE』参戦にあたり、ご協力くださいました方々に心より感謝いたします。
耐久レースに参戦することはチームとして初めての試みであり、準備期間も少なく、レース間際になると不安もありました。
レース展開に関しても安全策を優先したのは確かです。
初戦でクラス優勝、総合2位を獲得することが出来ましたことは良い意味での自負となり、今後更なる向上を目指し、
今回得られたデータを基に精進する所存でおります。
何卒、変わらぬ、ご支援を賜れますよう、お願い申し上げます。

全日本スポーツカー耐久選手権 ジャパンル・マンチャレンジ


 

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